とても残念なことがあります。ご家族に内緒で秋田犬の子をご注文なさる方が、目立ってきています。そうした方々は大抵の場合、ぜひ秋田犬を迎えたいと思っても最終的にご家族の了解が得られないため、当クラブ提携のオーナーさんに多大な迷惑をかけ、最終的に子犬の迎え入れも実現しません。このため当クラブでは最初にご注文をいただいた際に、ご家族と合意形成が完全になされているかどうかを確認し、得られていない場合は全員が迎え入れたいという意思統一を終えた後、改めてオーダーをなさるようお願いしております。

　これまでの例からしますと、了解を得られていないご家庭で最も多いのが、ご夫婦だけの世帯です。ご主人は以前から秋田犬を迎えたいと願っており、当クラブが提案する子犬の写真を見せることによってご夫人から事後承諾を得ようというパターンです。しかし、そのような場合、なぜかご夫人はもともと犬そのものをあまり好まない方が少なくないため、「誰が世話をするの。あなたは仕事で日中いないし、どうせ私でしょ。嫌よ」ということになり、大方の場合、同意は得られません。

　これに対し、まったく逆、つまり、ご夫人が当クラブにご注文なさる場合、了解を得られていないケースはほとんど皆無です。きちんと合意形成がなされているというより、ご主人も迎えたいというモチベーションが強く、当クラブとの接触役をご夫人がなさる例が多いです。お子さんやお年寄りなどほかのご家族がいる場合も同様で、ご夫人が注文なさる場合は迎え入れの合意形成はほぼ完璧です。

　次に多い好ましくないケースが、長男などご子息がご家族に内緒でご注文なさるパターンです。前述と同様、当クラブが提案した子犬の写真をご家族に見せて了解を得られると考えているのですが、この場合、意外にも家長である父親の同意が得られないことが少なくありません。おカネを出すのは注文したご子息なのですが、「誰の許可を得て勝手に犬を迎えるんだ!」と父親の怒りをこうむり、結局、どちらも引くに引かれずケンカになり、隣近所の人が仲裁に入ったという事例も耳にしました。

　冒頭にありますように、ご家族の合意形成を得られないまま注文されますと当クラブの提携オーナーさんに大きな迷惑がかかるほか、仮に事後承諾を得たとしても無理にご家族の了解を取った可能性もあるため、当クラブから旅立たせる子犬が粗末な扱いをされたりで不幸になるリスクも懸念されます。

　そこで1ページを割いてご購入希望の皆様にお願いするわけですが、夫婦2人暮らしの場合を含めてご家族全員が心から迎え入れたいという合意形成がない限り、ご注文はお控えください。これまでも「家族みんなが心から子犬の届くのを待っています」と切望される方々に厳選して譲渡しており、「実はまだ家族に話していません。写真を見せてもらってから、相談します」という方に旅立たせたケースは1件もありません。ご家族の了解を得ないで注文なさる方が最近目立ってきたため、これまで個々のやり取りでのみ確認していたものを、ホームページ上で当クラブのスタンスを明示させていただいたものです。

　これは秋田犬限ったことではなく、犬や猫を中心とするいかなるペットにもあてはまることです。特にご夫婦だけの世帯の場合、一方が犬を愛し、一方が嫌いだとします。それはふだんの生活に直接形として表れますし、秋田犬もそれを敏感に察知します。人間の言葉を話せたら、彼ら、彼女らはこう愚痴をこぼすことでしょう。「なんでこんなウチに来たんだろう」と。また、秋田犬を愛するご主人が仮に長期入院や出張などで家を空けることになった場合、犬が嫌いなご夫人だとすればろくに世話もしないため、衰弱させかねません。

　恐らく、大切な子を送り出しているブリーダーやペット業者の大方が当クラブと同様、せっかく家族の一員として迎えたのだからみんなで愛し、慈しんでほしいと願っているはずです。そうした意味でも、ご注文なさる際に家族内での合意形成が完全になされているのかどうかが、きわめて重要になるわけです。当クラブと提携オーナーの皆さんも、了解を得られていない方々のご注文に振り回された苦い経験を持っておりますので、くれぐれも全員の了解が得られた方のみご注文なさいますよう、重ねてお願い申し上げます。