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食欲減退の背景

 秋田犬を飼育なさっている方々から時おり聞くのが「なぜか、ぱったり餌を食べなくなってしまった」というお話です。こうした"現象"は犬種に限らず、よくみられるようです。そこでこのコーナーでは、食欲減退の背景として考えられる点に、少し触れてみましょう。

 その前に、子犬時点での食餌からアプローチしてみます。秋田犬には、食の太いタイプと細いタイプがいます。いかなる理由で太い、細いに分かれるのでしょうか。食の太いタイプは、豪快にもりもり食べるわけですから、悩みの種はほとんどないでしょう。

 やや心配なのは、食が細い秋田犬の場合です。それは、血統から来るものなのでしょうか。両親のいずれかが細いのでその子も細い場合もまったくないわけではないでしょうが、当地の大ベテランが重視しているのは、母乳からドッグフードへの移行後の数十日間にあまり食べなかった、あるいはあまり与えられなかった秋田犬は胸骨が必要以上に広がらずに成長するため、そのほとんどは食の細さも維持されてしまうということです。

 「とにかく子犬の時は十分に食べさせて、胸骨を広げること」と前述の大ベテラン。胸骨を広げるということは、将来的にたくましく大きく成長していくことを意味します。無論、柴犬と秋田犬の中間ぐらいにしか成長しない血統の秋田犬は、たっぷり与えても標準サイズの体格には達しません。

 標準サイズに至らない血統の秋田犬は、実は全国に結構おり、譲渡する側がきちんと説明してあげないと、初めて秋田犬を迎える方には、その子がどのような体格のタイプなのか、成長するまでは知りようがありません。一定の時期まで成長してから「うちの秋田犬は、やけに小さい」と気づくわけです。

 そうした小ぶりな血統ではない、標準体格に達する秋田犬についてここでは論じていますが、では、いつぐらいまでたっぷり食べさせると、食の太い秋田犬として成長するのでしょうか。もちろん個体差がありますので、いちがいに特定はできませんが、下の写真の子、つまり当地で「伸び」と呼ぶ成長過程に入った90日から120日ぐらいまでは、たっぷり食べさせて胸骨を広げる必要があるでしょう。生後45日ぐらいから120日ぐらいまでが、たっぷりドッグフードを与えるべき時期といえます。

 それまでの間、あまり与えなかったりするなどして食が細いままにされた子は、一定の成長期を過ぎても「食の細い秋田犬」となる可能性があります。ただ、「たっぷり与える」といっても限度があるほか、個体差も無視できませんので、常に観察眼しながら食餌に対応する必要があります。許容量を超えて与えると、適度な硬さの便が下痢便に変化していきますので、そうなったら与えすぎと認識すべきでしょう。

 それ以外の原因で食が細い理由として考えられる一つとしては、まったく、あるいはほとんど散歩(運動)をさせてもらえず、半ばつながれっ放しの犬も、概して食いつきは良くないはずです。"食っちゃ寝"状態ならば、きちんと朝、夕散歩をしている犬に比べ、空腹感が乏しいのは当然といえるでしょう。

 また、食べ残しを何時間もそのままにしているのが日常的な場合も、だらだら食べているわけですから食が細くなりがちです。1回で食べ切る量を与え、残したらさっと片づけてしまうのは秋田犬飼育の鉄則です。このほか、ちょくちょくおやつをもらっているため、肝心の食餌の時には満腹感があるなど、食を細くしている原因として考えられる点はいくつかあります。

 では、本題の「ぱったり食べなくなった」場合の背景について、考察を加えてみます。当クラブから全国の方々にご購入いただいている「推奨ドッグフード」に対しては「食が太くなった」「皮膚疾患が改善された」など多くの喜びの声が聞かれますが、このドッグフードを与えてさえも、犬によっては突然食べなくなる時期があります。つまりは、どんなドッグフードを与えてもほぼそうなる時期がある、と考えていいでしょう。

 第1点は、真夏の暑い盛りです。この時期は、いかに力強い秋田犬でも強烈な暑さに辟易して食欲が落ちる傾向にあります。真夏は、どうやったらその犬の食欲が一定以上落ちないようにするか、心を砕いてやる必要があるでしょう。適量の野菜を加えたり、ドッグフードをおじや風のご飯に切り替えるなどして、食に変化をつけることで一定の成果を期待できる場合もあります。

 第2点は、オスならば数キロ以内に生理期に入ったメスが存在するときです。食欲が落ちることがあるほか、元気がないように見えたり、落ち着きがなかったりと、明らかにふだんと様子が違います。生理期のメスのにおいが嗅覚を刺激し、精神的に影響を与えていると考えられます。メスの生理が終われば、再びふだんの状態に戻るのが通常のパターンのようです。また、生理期に入ったメス、妊娠したメスも秋田犬によっては食欲が低下したりすることがあります。

 第3点は、上記のいずれにも該当しないと思われる場合、病気を疑う必要があるかも知れません。その際、便の硬さ、色、臭いなどが参考の一つになります。特に、下痢が長く続いているといった場合は、消化器系の疾患などを疑う必要がありますので、可能な限り速やかに秋田犬の治療経験のある獣医師に診てもらうことをお奨めします。

 秋田犬を一度も診たことのない獣医師も全国には少なからずいると聞きますので、獣医師の側にそうした面での"実績"があるか否かはきわめて重要です。他犬種も同様のように、秋田犬も秋田犬だけの身体的特性、精神的特性などがありますので、秋田犬について何も知識を持たないまま診察しても誤診の原因になりかねません。くれぐれも「ここなら信頼できる」という獣医師を見つけましょう。

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