BANNER0808.JPG - 66,727BYTES
 
餌の与え方

 どんな餌を与えたらいいでしょうか。一昔も二昔も前は人の食べ残しを与えたりしたものですが、今は「これ、本当に犬用? 人間でも食べられる」と思えるほどの餌も市販されています。秋田犬オーナーによって考え方に多少の開きはあるでしょうが、当地の大ベテランのアドバイスを紹介しましょう。

 「茶碗にこんもりとドッグフードを入れ、食べやすくするためにぬるま湯をかけ、少しふやかしてあげる。ドッグフードの粒が、潰れてしまわない程度に。その上に猫用のマグロとカツオのミックス缶を、1回の食餌につき1缶の半分のせてやる。脂肪分、成分など、総合的にみて犬用よりも猫用の方がお奨め。これで栄養面は、かなり理想に近づく」。

 前述の量はもっぱら子犬時までの目安で、当然のことながら、成長とともに必要量は増します。そこで、成長に見合うキーワードは「その犬の頭骨大の量」。つまり、1回の餌量はその秋田犬の頭骨の大きさに匹敵する量が良いということです。頭蓋骨をどんぶりに見立てると、イメージはわきやすいでしょう。

 「頭骨大」などと表現すると、「そんなので正確に計量できるか」と嘲笑する自称"秋田犬の先生"がいるかも知れません。しかし、成長とともに頭骨は成犬期まで少しずつ大きくなり、与える量もそれに伴って増えていきます。根拠はともかくとして、先人たちの知恵であることは間違いないでしょう。

 確かに、ドッグフードの袋の裏面には小型犬、中型犬、大型犬といったサイズや成長プロセスに分類しながら、与える量の目安を表示しています。ただ、サイズについていえば、同じ大型犬でも秋田犬もいればセントバーナードもいるなど、体格にばらつきがあります。従って、犬種によっては裏面に記載している目安量が、的外れな場合もあります。ともに暮らす犬の適量をある程度正確に把握することは、きわめて大切です。「頭骨大? 笑っちゃうよ」と馬鹿にするのではなく、試してみてからその是非に対して個々が結論を出しても遅くはないでしょう。先人の知恵は、時に"珠玉"の方法であったりするものです。

 秋田犬にはどんなドッグフードがいいのでしょうか、という質問を当クラブから子犬を迎えられた皆さんなどからよく受けます。皮膚病やアレルギー症状など、状態がかんばしくないと感じたら、与えているドッグフードに脂肪分が多く含まれていないか、動物性の肉がどの程度含まれているか、をチェックしてください。

 市販されているドッグフードの多くは"洋犬バージョン"ですから、脂肪分の多いものが目立ちます。また、「日本犬用」とうたっているドッグフードも「混り物が多い場合があり、秋田犬には薦めたくない」というのが当地のベテランオーナーの意見です。かなり低価格のドッグフードも出回っていますが、「これも、混入物によって逆に体調を崩す」と、当クラブと提携しているベテランオーナーの多くはいいます。無論、高価だから秋田犬にも良い、というものではありません。

 1日に何度餌を与えるかですが、生後70日ぐらいまでは3回。それ以降は、朝夕2回に切り替えてください。犬のハウツー本によっては「1日1回」と記載しているものもありますが、こと秋田犬に関してはお奨めできません。

 便の観察も重要です。下痢便は、1回あたりの餌の量が多い場合などにみられます。また、与えるドッグフードが適切でない場合も下痢をしたりしますし、ドッグフードによっては「何食ってたんだ?!」と鼻をつまみたくなるほどの悪臭便をすることもあります。

 餌を与える際に、絶対にやめていただきたいのは塩分の摂りすぎです。こんな例がありました。ベテランオーナーに秋田犬の管理を任されていた人が、親戚からたくさん味噌をもらったため、「与えれば犬の健康にも良かろう」と、毎日餌に味噌を混ぜていたそうです。体調の悪化を不審に思ったオーナーが問いただしてみたところ、日常的に味噌を与えたことによって肝臓や腎臓の障害を起こしたことが判明。塩分は人間の約5分の1にとどめるべきなのに、必要以上に摂取したため、内臓を傷めたのでした。

 肝臓障害を起こした場合は、唇の内側をめくってみることで判別できます。肝臓が健康な犬は、唇の内側がピンク色をしているのに対し、障害がある場合は黒色がかっています。塩分過多で内臓を患うと、治すのに苦労しますし、メスの場合は交配しても受胎できなくなる可能性が出てきます。

 なお、秋田犬は大型犬ですから、食餌代も馬鹿にならないのでは思われがちですが、1頭につき月5,000円程度との声が少なくないようです。ただ、高価な餌を与えている方はそれなりの出費なわけですから、5,000円程度というのはあくまで参考値です。ホームセンターなどで低価格のドッグフードを専門に選んでいる方は、格段に少ない経費に抑えられる場合もあるでしょう。

 最後に、どの犬種にも共通することですが、ネギ類やチョコレートをはじめ、犬に絶対食べさせてはいけない食物、または要注意の食物や飲み物がいくつもありますので、飼育前から十分に認識を深めておいてください。

HOME