M-DAIZI2.JPG - 58,798BYTESBANNER0808.JPG - 66,727BYTESDAIZIA8.JPG - 29,834BYTES

秋田犬の交配

 このコーナーでは、秋田犬の交配に触れてみましょう。秋田犬の場合は、オーナーみずから飼育しているオス、メス同士を交配させるケースと、一方の飼育者が一方の飼育者に交配を依頼するケース、の二つに大別できます。後者の場合、一般に「交配料」と称し、交配をお願いする側が依頼される側に1回の交配につき数万円程度手渡すのが礼儀です。依頼される側の犬が非常に優れた犬なら、1回の交配料が10万円以上という例もあります。

 また、おカネではなく「子返し」または「種返し」と呼ぶ方法もあります。例えば、交配依頼者の犬がメスで、依頼を受けた側の犬がオスだとします。依頼者のメスが無事に子犬を産んだら、依頼を受けた側は子犬たちの中から最も優れた子を得る権利を有するのが「子返し」「種返し」と呼ばれるやり方です。

 仮に5頭生まれて、その中に1頭も優れた子が含まれていなければ、「子返し」「種返し」は交配依頼を受けた側にはメリットがありませんし、逆にずば抜けた子が1頭含まれていれば、依頼を受けた側は貴重な宝を得たことになり、交配依頼をした側は内心悔しい思いをすることもあります。その子が成長して、秋田犬展覧会最高峰の本部展名誉章でも受章しようものならなおさらです。「子返し」「種返し」よりは、交配料を支払って交配を依頼するケースの方が多いでしょう。

 きわめて優れた犬を所有しているオーナーには、方々から交配依頼があったりしますが、出産回数が多いほどメスは寿命が短くなる傾向がみられますし、交配回数の多いオスも例外ではありません。このため、良識のあるオーナーは犬を長生きさせることを含めて総合的な観点から交配の是非を判断し、依頼が来てもたやすく引き受けません。

 また、どれほど優れた犬でも、展覧会出陳を控えた犬を交配させることはほとんどありません。出陳を控えたオスが展覧会の1カ月以内に交配しようものなら、展覧会場で落ち着きを失い、雄姿を披露してくれないことが往々にしてあるからです。メスも同様です。交配は、ただ行えばいいのではなく、タイミングを含めてあらゆる角度から判断して臨まなくてはなりません。

 本部展名誉章を受章した犬がいるとします。名誉章受章犬が優れた子を生み出すかといえば、決してそうではありません。たとえ受章犬でも、その犬の生涯を通じて優れた子が1頭も生まれないという例もあります。これは受章犬がオスであってもメスであっても同様です。逆に、まったくの無名で、1度も展覧会に出たことのない犬が、何頭もの優れた犬を世に送り出すケースもあります。そのような犬をさして、当地では「あの犬は子出しが良い」という表現をします。つまり、優れた子を生み出す"打率"が高いことを意味します。

 もちろん、そのような犬はそうそういるわけではありません。結論からすれば、優れた子を作り出すのは非常にむずかしく、たゆまない研究と努力が必要、ということです。優れた子の優秀さを伸ばしてやるのはこれまた高度な技術と深い愛情が必要で、100人中95人までがこれを実現できないでしょう。それほど秋田犬の世界は、奥が深いです。

 交配の様子を撮影しましたので、5枚の写真を使って紹介してみましょう。動物の交尾シーンは、日本をはじめ世界各国の公共放送がテレビなどで放送しています。つまりこれは、学術的な観点から茶の間に流しているわけです。当クラブが秋田犬の交尾写真を皆さんに紹介するのもまったくそれと同性格ですが、もし交尾写真に嫌悪感を示す方がいたとしたら、ご覧にならないで下さい。また、子どもに見せたくない、という場合も同様です。秋田犬の交配について、写真とともに知識や技術をインターネットで公開するのは当クラブが世界初であることを自負しつつ掲載するものです。
 

@交配依頼者がメスを所有し、被依頼者がオスの例です。無論、メスは発情期を迎えていなくてはなりません。初対面のオスとメスは、双方匂いを嗅ぎあいます。熟練者は、メスが正常に発情しているかどうかを、指を入れて確認します。これは、経験の浅いブリーダーにはできない技です。
 
A初対面から5分ほどして、交尾が始まりました。オスの体調が悪かったり、気乗りしなかったりすると、いつまで立ってもオスはメスに乗らないこともあります。熟練者ともなると、オスがメスに乗るのをアシストし、きちんと結合したかどうかを確認します。
B数分後、犬独特の交尾形態であるお尻を接合するスタイルとなりました。この状態が10分近く続きます。
C交尾が終了した直後は、オス、メス同士で仲睦まじいような素振りをみせます。双方、感情の高ぶりが静かにおさまっていきます。ブリーダーたちは、完全にクールダウンするのを待ちます。
D交尾を終えたメスが、車に乗って犬舎に戻るところです。交配のための"出会い"から"別れ"までは、ほんの30分足らずといったところでしょうか。しかし、なかなか交尾が始まらないと、2頭の犬を前にしてブリーダーたちは、延々待つことになります。形式上は交尾が成功したように見えても、必ず身ごもるとは限りません。不妊の原因としては、先天的、疾病、一定の成長後1度も出産させなかったことによるメスの中性化などが挙げられます。
HOME