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展覧会出場者のための
ワンポイント・アドバイス(2)

細く丸く

 このコーナーでは、首輪と足について少し論じてみましょう。展覧会、特に秋田犬の展覧会に出される方は、首輪の太さがおおむね2センチ足らずの細いものを使用します。

 元超ベテラン審査員は、こうアドバイスします。「その犬を一生展覧会に出さないのなら幅のある首輪をつけてもいいが、展覧会を念頭に置いて飼育するなら、幅のある首輪は好ましくない」。幅のある首輪は、接触面が広いだけではなく、基本的に角張っています。このため、首輪の型が取れにくい、あるいはそれをしていた期間の長さによっては取れなくなってしまい、首輪部分の毛が寝てしまうのです。

 それを知識としてきちんと自分のものにしているオーナーは、鉄格子の犬舎などにすることでふだん首輪をする必要がない状態で飼育、管理しているほか、散歩や運動の時には細い首輪をつけて屋外に出します。

 細い首輪は、接着部分が角張っておらず、丸みを帯びていなくてはいけません。趣味として秋田犬を飼育なさっている方に、鮮やかな色の幅広い首輪をしている姿を多く見かけるのに対し、展覧会に情熱を燃やしている熟練オーナーに幅広い首輪をして散歩をしている方はほとんどいません。せっかく磨き上げた犬でも、展覧会で首輪の後が残っていたら、様にならないことを経験上熟練者はよく知っているからです。

路面はバランスよく散歩を

 次は足。秋田犬の体の名称では一番下の「趾」と記されている部分です。前述の首輪については、熟練オーナーなら誰もが知っている「常識」ですが、次に説明するのは元超ベテラン審査員が「これを知識として習得している人はほとんどいない」と断言するほど、独自の経験と研究に基づくものです。まず、皆さんに質問が一つ。アスファルトだけを散歩している秋田犬と、土の上だけを散歩している秋田犬、そしてアスファルトと土をバランスよく散歩している秋田犬の足は、それぞれどう違うでしょうか。解答できる方がいるとしたら"通"どころではありません。

 東京など大都会は、アスファルトのみを散歩するケースが多いかも知れません。アスファルトの散歩によって路面に対する指の"つかみ"が乏しくなり、膨らみを欠いた「兎足」化していきます。兎の足にはまったくといっていいほど、膨らみがありませんね。もちろん兎はそもそも足の形がそうなのですが、秋田犬の場合、アスファルトのみの散歩を続けることによって足指が路面に食いつく必要が乏しくなっていくため、やがて小型化していきます。

 これに対して土面のみを散歩している秋田犬は、無意識的に足底が路面をつかむような感覚で歩いているため、アスファルトのみを歩いている犬より、足ががっちりとする傾向が表れます。しかし、アスファルトだけを歩行している犬よりも指先の反応が大きいため爪が伸びやすく、結果的に伸びた爪によって指が上向きになる傾向が強まります。

 「理想的なのは、アスファルト面と土面の散歩をバランスよくしてあげること」と元超ベテラン審査員。本部展、支部展を問わず出陳犬の足を観察してみると、がっちりとしていかにも「地に足が着いた」感じの犬と、妙に小さくなよなよした足の犬がいます。これは、元超ベテラン審査員が長年の審査員生活と、半世紀にわたる秋田犬飼育の中から得た結論ですので、散歩や運動のあり方に関して熟練オーナーの皆さんにとっても参考になるのではないでしょうか。

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