BANNER0808.JPG - 66,727BYTES

子犬時の散歩1

 秋田犬に限らず、多くの飼育者が愛犬との散歩を日課にしています。雪国では、吹雪の朝夕などはやや億劫な時もありますが、それでも犬との散歩は健康維持につながりますし、犬にとっても飼い主との散歩は楽しみな習慣といえます。散歩の距離も、家の周辺程度から、朝夕各5キロ以上という方までおり、やる気や体力などに応じてさまざまです。

 そうした中、当クラブから秋田犬の子をお迎えになった方々のお便りやご相談で比較的多いのが、「子犬のうち散歩は差し控えてくださいと獣医さんに指示されたのですが、どうしたらいいでしょうか」というもの。実際、生後60日前後で当地を発つ子犬たちのほとんどは、旅立ちの前日まで元気に外を走り回っています。

 そうなると、獣医の助言に反した行為ということになりますが、ただ、獣医も「子犬のうちは、絶対に散歩させないでください」という厳密な方と「させても差し支えないですよ」という方がいるなど、考え方、認識には若干の開きがあるようです。そこで、このコーナーでは当地、秋田県大館市のベテラン秋田犬オーナーのアドバイスをご紹介しましょう。

 結論からしますと、子犬の時点で散歩をさせてもいいか否かの判断材料は、家の周囲の環境です。「その決め手になるのが、野良犬や放し飼いのような犬が周囲にいるかどうか」と前述のベテランオーナー。管理がしっかりしていれば、飼い犬のお腹の中に回虫はいないと考えられます。しかし、稀に見かける野良犬、捨てられた犬、放し飼いの犬は回虫を取り込んでいる可能性が高くなります。

 お腹の中に回虫がいる犬のフンには、回虫の卵が混じっていると考えた方がいいでしょう。フンが雨風などで外見をなさなくなっても、卵は容易に死滅しません。それが子犬の足の裏に付着し、舐めたりすると体内に取り込まれてしまい、卵が孵化します。体内に回虫がいる場合、ドッグフードなどせっかく摂取した栄養が回虫に吸収されてしまうため、子犬は栄養不良に陥ってしまいます。

 「きちんと餌を与えているのに、どうも太れなくて」という方を時おり見かけますが、前述の背景で、これはお腹に回虫がいる可能性があると考えた方がよさそうです。回虫の卵を体内に取り込んでしまうのは、子犬に限ったことではなく、成長した犬も同様で、きちんと餌を与えても体や顔つきにややげっそり感がありますので、比較的容易に判別できます。

 「回虫の卵を取り込んでしまったら、虫下しを投与すれば十分。万全を期したいなら、2カ月に1回のペースで投与すれば、腹の中に虫はいなくなる」と同ベテランオーナー。これで子犬も気兼ねなく散歩させることができます。獣医の中には「それだけではなくウイルスの問題もある」と指摘する方も少なくありませんが、よほど特殊な環境下にでも置かない限り、ウイルスで子犬が死ぬケースは、少なくとも当地では聞いたことがありません。

 では、子犬のうちから散歩をさせた秋田犬と散歩をさせない秋田犬は、成長してからどう違うのでしょうか。散歩をさせてもらっている犬は、早いうちから人や車などに慣れます。それらの経験を踏んだ子犬は、人込みでも臆することなく堂々と闊歩しますが、そうでない犬は人がたくさんいる場所に足を踏み入れた途端、腰が抜けたような状態になり、1歩も進まなくなったという話も聞きます。

 同様に、走行する自動車などに早くから馴染ませておかないと、怯えたりする場合があります。つまりは、子犬のときからのびのび散歩させることで、社会性を養う効果が期待できるということです。

HOME