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わさおに会う・春編

 2018年4月22日。2年9カ月ぶりに、わさおに会った。彼と"一心同体"だった菊谷節子さん(2017年11月30日に73歳で他界)が逝き、5カ月近くが経っていた。あれから、わさおはどう暮らしたのか。今も「おかあさん」は、心の中にいるのか。わさおと、彼の"家族"をカメラに収めてみた

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 わさおは、2年9カ月前とは明らかに違っていた。「おかあさん」以外の誰にも迎合しない、まして観光客になど媚びを売るはずもなかった、いわば「寄らば斬る」のオーラを、すでにどこにも感じ取ることはできなかった。「丸くなった」「老けた」…。いくつかの形容が可能だ。「おかあさん」が逝った後、何かが抜け落ちてしまったのか。それとも、齢を重ね、斜陽期に入ったのか。いずれにせよ、時おり垣間見せた獅子のごとき凄みはもはやどこにもない。

 

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わさおは、子に恵まれることがなかった。青森県内の犬舎から、わさおの"養子"に入った「ちょめ」。観光客
の1人が「わさお」「わさお」と呼びかけた。「ちょめ」をわさおと思い込む観光客は、少なくない。血の通いが
まったくないにもかかわらず、この2頭は素人目には判らないほど似ている。「ちょめ」は、わさおほどのオーラ
を持ち併せていないが、やがてはわさおの"代役"を担うのだろう。

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 家族水入らずの3ショット。左から、ちょめ、わさお、そしてなかなかカメラポーズを取ってくれない"嫁"のつばき。「おかあさん」亡き後、この2頭はわさおの心の支えになっているのかも知れない。わさおだけが孤独の中で暮らしていたなら、恐らくはもっと老け込んでいただろう。人の言葉が話せたなら、わさおはこう言うのではなかろうか。「ふたりは、大切な存在だ」。

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 わさお家族の新居が完成していた。古い小さな"家"はそのまま"大きな屋敷"の中に置いてある。「おかあさん」
亡き後も元気に暮らしてほしい、との願いが真新しい"家"には込められているのかも知れない。後ろに広がる日
本海は、わさおが初めてこの地を安住の地としたころと、何も変わらない。

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"わさお邸"の脇には、色あせた看板が立っていた。だれがどの位置にいるのかを示す看板。これを確認してから
ご対面すれば、わさおとちょめを見誤ることはない。

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わさおを一目見ようと訪れる観光客は、後を絶たない。それは、わさおが今でも秋田犬界最高の有名犬であること
を意味する。外見だけではなく、わさおには他の秋田犬と一線を画す"ドラマ性"がある。それは、かつてのハチ公
と相通ずる。そこに、多くの人々を魅了する何かがあるのかも知れない。

2018年4月24日掲載/参考コラム 

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