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事故の未然防止1

 家族の一員として迎えられた秋田犬の中には、生涯にわたって平穏に暮らせる子もいれば、思いもよらぬ事故に遭遇してしまう子もいます。そこでこのコーナーでは、起きやすいアクシデントの中から異物誤飲に触れてみたいと思います。

 ほとんどのお客様は子犬時に秋田犬をお迎えになりますが、1歳ぐらいまでの最も好奇心旺盛な時期に起きやすいのが異物誤飲です。なんでも口にくわえたがるという習性に起因するもので、飼い主が目を離したすきに発生しがちです。

 とりわけ注意しなくてはならないのが、犬舎ではなく家の中で家族の皆さんと暮らしている場合でしょう。犬舎内には基本的に何もないか、飲水用の器など限られた物しか置かれていませんが、家の中にはリビングルームをはじめいくつもの空間に誤飲を誘発しそうな物が多数存在します。

 タオルや雑巾などは一定のサイズ感があるためそのままでは誤飲しにくいかも知れませんが、勢いよく食いちぎってから飲み込んで喉に詰まらせることもあるため、油断は禁物です。また、薄手の靴下などはそのまま飲み込んでしまう危険性が皆無ではありません。さらに、家族が服用している医薬品やサプリメントのほか、小ぶりなボール状の物も危険です。

 そうした一連の物を置かないことが未然防止につながりますが、人間の生活空間で同居しているとなかなかそうもいきません。他犬種はともかく、秋田犬の場合、犬舎で暮らすのが最善の予防策と考えます。しかし、庭が小さいなど犬舎のスペースを確保しにくく家の中で皆さんと一緒に暮らさなくてはならない場合は、「これは口にしてしまうんじゃないか」と考えられる物を事前に片づけたり、棚の上などできるだけ高い位置に置くといった対策が必要でしょう。

 また、「関心を持たせない」ことを推奨する書籍もみられますが、秋田犬の幼、少年期は特に好奇心が旺盛で、いろいろな物を口にする傾向がとりわけ顕著な時期ですので、物に関心を持たせないことは技術的に難易度が高いといえます。

 もし愛犬が何かをくわえている光景に遭遇した場合、それは医薬品やサプリなのか、ボール類なのか、タオルや雑巾なのか、つまり物によって深刻の度合いは多少異なります。

 タオルや雑巾などは破ったりして飲み込むまでにある程度時間がかかりますので、こちらに気をそらしつつタイミングを見計らって取り返します。とはいえ、愛犬によっては横取りされないよう執拗に口から離さない子もいますので、飼い主には冷静さが求められます。

 もし飲み込んだ物が人間用の医薬品の場合は、かなり緊急性を要します。人間ならば一錠、一包などあらかじめ決められた量を服用しますが、犬は風邪薬であろうが胃薬であろうが血圧の薬であろうがコレステロールの薬であろうが、箱や袋を破ってすべて飲み込んでしまうリスクが高いです。

 サプリは医薬品よりいくぶん安全、と考えるのも危険です。亜鉛やビタミンDをはじめ人間ですら過剰摂取すると健康に害があるサプリが少なくない中、犬はドッグフード感覚で食べ尽くしかねません。人間なら可能でも犬には絶対に摂取させてはならない成分も含まれていたりしますので、医薬品と同様に危険です。

 医薬品やサプリを大量に飲み込んでしまった場合は、電話で状況説明した上でかかりつけの動物病院に直行することをお奨めします。くれぐれも「少し様子をみる」などと、自分だけで判断しないでください。誤飲直後は一見何ともなさそうでも、時間の経過とともに事態が悪化することは多々あります。

 くわえた物をすぐに口から離させることは、実は可能です。毎日5分程度で結構ですので、子犬時に口から離す練習を開始しましょう。遊びの延長線上で練習すると、愛犬はしだいに飼い主に従うようになります。異物誤飲の予防策としては、この方法が最も効果的かも知れません。ただ、これは飼い主が見ている場合に限ります。家族全員不在の時に誤飲した場合は、発見時にはすでに手遅れということすらあります。

 チワワやパグ、ミニチュアダックスなど小型犬を中心とする他犬種は家の中で人と一緒に暮らす例が圧倒的に多いのかも知れませんが、室内犬として暮らしている秋田犬は犬舎暮らしがベストであることを再認識しつつ、犬舎設置の可・不可を今一度熟考してみてはいかがでしょうか。

 秋田犬は、多くが専用の犬舎で誕生しています。散歩中など、外で異物を口にするリスクも皆無ではありませんが、少なくとも犬舎内ではそうしたアクシデントはほぼ未然に防げることも、あらためて念頭に置いていただけたらと思います。

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